第15章 お弁当
判断はみつ達に任せようと様子を伺う。
頬が赤くなっているし、叩かれたのだろうから、許すわけはないと思ったけど。
「別にいーよ。姉ちゃんと間違われるの、初めてじゃないし。」
予想外にも、みつは笑っていた。
許す許さないの判断は本人がする事だから、どっちでも良いのだけど、笑顔の意味は気になる。
「それに、私の為に京治があんなに怒ってくれたから、逆に感謝したいくらい。」
かなり歪んだ思考からきていたものだと分かると、呆れてしまった。
「お前、頭おかしいんじゃない?」
私と同じような感想を持ったらしい赤葦さんの声がする。
しかも、明らかに軽蔑するような視線付きだ。
それでも構わず、みつは赤葦さんの腕に絡み付いて。
「そうじゃなかったら、京治と付き合えないと思うよ。京治って、愛情表現してくれない人だし。」
「悪い?」
「悪いとは言ってないじゃん。だから、私の為に何かしてくれた時は、本当に嬉しいって意味。」
公衆の面前であるというのに、イチャイチャし始めてしまった。
他人のフリをさせて頂きたいくらいだ。
もう、勝手にして下さい、このバカップル。
見たくもないものだったから、視線を2人から外して足元の女性に向ける。
いつまでも地面に座らせておく訳にはいかないから、手を差し出した。
「本人が良いと言っているので、取り合えず立って下さい。」
掴もうか迷うような視線を手に向けられたから、言葉を添える。
「…でも、何かお詫びを…。」
それでも、まだ納得しなかったようで、立ち上がろうとはしてくれなかった。