• テキストサイズ

【HQ】繋がる縁の円

第15章 お弁当


判断はみつ達に任せようと様子を伺う。
頬が赤くなっているし、叩かれたのだろうから、許すわけはないと思ったけど。

「別にいーよ。姉ちゃんと間違われるの、初めてじゃないし。」

予想外にも、みつは笑っていた。
許す許さないの判断は本人がする事だから、どっちでも良いのだけど、笑顔の意味は気になる。

「それに、私の為に京治があんなに怒ってくれたから、逆に感謝したいくらい。」

かなり歪んだ思考からきていたものだと分かると、呆れてしまった。

「お前、頭おかしいんじゃない?」

私と同じような感想を持ったらしい赤葦さんの声がする。
しかも、明らかに軽蔑するような視線付きだ。
それでも構わず、みつは赤葦さんの腕に絡み付いて。

「そうじゃなかったら、京治と付き合えないと思うよ。京治って、愛情表現してくれない人だし。」
「悪い?」
「悪いとは言ってないじゃん。だから、私の為に何かしてくれた時は、本当に嬉しいって意味。」

公衆の面前であるというのに、イチャイチャし始めてしまった。
他人のフリをさせて頂きたいくらいだ。

もう、勝手にして下さい、このバカップル。

見たくもないものだったから、視線を2人から外して足元の女性に向ける。
いつまでも地面に座らせておく訳にはいかないから、手を差し出した。

「本人が良いと言っているので、取り合えず立って下さい。」

掴もうか迷うような視線を手に向けられたから、言葉を添える。

「…でも、何かお詫びを…。」

それでも、まだ納得しなかったようで、立ち上がろうとはしてくれなかった。
/ 545ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp