第15章 お弁当
本日の夕食は、家族と赤葦さんと、秋紀の勤め先に行く予定だった。
でも、待ち合わせ場所に赤葦さん達が中々来ないから、探しにきてみたら修羅場になっていて驚く。
巻き込まれたくないし、気の強い感じの女性は苦手だから動けなくて、ただ見守っていると、救世主が現れた。
「赤葦さん、すみません。それ、僕の同僚なんで放して貰えますか?」
「…月島の?それが、何でいきなりみつに絡んできたか分かれば放すよ。」
「だから、その女が、男を振り回しているのが気に入らないって、言ってるじゃない!」
「私、そんな事してないよ。男を振り回すのが得意なのは、寧ろ姉ちゃん。」
「誰が、男を振り回してるって言うの。」
途中で、自分を表す言葉が聞こえてたけど、身に覚えがなくて。
口からポロりと言葉が溢れた。
それに反応して、その場の面々が私の方を向く。
「…双子?」
「違うよ。姉妹。よく間違われるけどー。」
そして、初対面の方々は大体する間違いの言葉を吐かれた。
呑気な感じで答えたのはみつで。
何やら勘違いであった事を悟ったらしい赤葦さんは、女性の腕を放す。
「じゃ、今朝、月島くんが会ってたのは…。」
「私の方ですが。」
「あの、居酒屋の店員さんは?」
「私の彼ですが。」
確認のような問い掛けに答えると、力が抜けたようにその場に座り込む女性。
そのまま地面に手を付いて深く頭を下げた。
「大変申し訳御座いませんでした!」
所謂、土下座をされてしまって、どうすれば良いか分からず周りを見回す。
トラブルになったのは私相手じゃなかったから、勝手に許す訳にはいかなかった。