第15章 お弁当
‐月島side‐
今朝、りらにあんな事を言ったから。
木葉さんとかに待ち伏せされてても面倒だし。
定時になっても、すぐには上がらず時間を潰してから会社から出た。
警戒して辺りを見回しても居なくて、安心したのも束の間。
少し歩いたところで、騒ぎが起きていた。
関係がなさそうだったら、スルーしたと言うのに…。
「すみません。女性相手に手荒な事はしたくないので、落ち着いて貰えますか。」
「ちょっ!離してよ!アンタ、この女に何人も男居るって知ってて庇うの?」
「言っている意味が分かりませんね。何を根拠に、他にも男が居ると?」
「だって、朝っ!」
「朝?みつ、俺が仕事に出てから出掛けたりした?」
「してないよ。京治、何も言わないで外出すると怒るじゃん。」
「何言ってんのよ!男と会ってたじゃなっ!いった…っ!」
言い合いする声が、全部知っている人のものな上、僕にとって不都合な事を言われる予感がする。
多分、今朝の件を彼女に見られていて。
りらと、顔の似ているみつが間違いで絡まれて、赤葦さんが怒っている。
それなら、彼女の口から続く言葉には僕の名前が出る可能性が高い。
まぁ、今は赤葦さんに腕を捻られて痛みで何も言えそうに無いけど。
「スミマセーン。こんな往来で、何やってるんデスカ?」
下手に放っておいたら、どちらからも面倒臭い連絡が来るだろうから、止めに入る事にした。