第15章 お弁当
私が混ざるとなると、空けられるのは秋紀の隣で。
これが付き合ってる事を周知されるって事なんだ、と実感する。
私の為に空けられたスペースに座ると、すでにアルコールに負けた秋紀が寄り掛かってきた。
「…帰る?」
「だーいじょーぶ。ちょい寝たら、復活すっから…。」
「寝て、起きられるの?」
「完全に横にならなきゃ、へーき。」
「その言い方、駄目だと思う。」
「…まぁ、もう限界近い…か…ら。」
間延びした声で言われても説得力は無い。
この状態だと何を言っても無駄。
仕方無いから肩を貸すことにすると、話の途中であるというのに眠ってしまった。
そんな私達に向いている視線を感じて、そちらに目をやる。
その元には、月島くんが居た。
何故そこまで、じっと見ているかを問うように首を傾ける。
でも、言葉は何も返してはくれず、顔を逸らされるだけで終わった。
月島くんが、こういう時に正直に答えてくれる人じゃない事は分かっていたから、しつこく何かを聞く事は無く。
他の人達と会話をしながら過ごす事にする。
店の営業時間が終わり、かおるさんが飲みに加わったり。
酔い潰れたみつを連れて、赤葦さんが早々に帰ったり。
それくらいしか特筆すべき事は無く、今日の飲み会という席は終わった。