第15章 お弁当
開店時間から、数十分。
店の扉が開いて、来店したのは秋紀と月島くん。
珍しい組み合わせとは思ったけど、小上がりに誘導した。
腰を下ろす前に、月島くんがポケットに手を突っ込んだと思ったら、ゴミを渡されて苛つく。
「これ、捨てといてくれる?」
一言あったから、そこは許すことにしたのだけど。
そのゴミ、銀色の袋は栄養補助食品のもので。
ちゃんとした食事を摂っていなかっただろう事は、許せなかった。
「月島くん。お昼、何食べた?」
「…ソレだよ。」
「これだけ?」
「後はお茶。どうでもいいデショ。そんなコト。」
忙しい時とか、こういうのしか口に出来ない事もあるだろうけど。
月島くんみたいに、要領の良い人が食事の時間を作れない状態なんて想像が出来なくて。
ただ、食事が面倒だったんじゃないかって思った。
話は締められてしまって、それ以上は言えず。
他の皆も来店してきたから、この場は諦めたけど、ちゃんとした食事を摂って欲しい気持ちは変わり無い。
また黒尾さんに過保護だの言われそうだけど、家族を心配して何が悪い。
ある決心をして、飲み会を始めた皆を眺めていた。
それが、いけなかったのか、かおるさんに気付かれて、強制的に本日の手伝いは終了。
小上がりで、すでに酔っ払っている群れに混ざる事になった。