第15章 お弁当
‐りんside‐
断る気満々の態度を取っていた月島くんを、強引に引き連れてやってきたのは、会社近くのチェーンの居酒屋。
最近は、居酒屋っていってもランチやってる所も多いし、意外にメニューも豊富だから、ここを選んだのに…。
「スミマセン、ここだけは嫌デス。」
さっきまでの、拒否ってますって雰囲気を出していただけの状態からガラリと変わって、徹底拒否の姿勢を示された。
まぁ、私はこの店に拘ってないから別にしても良かったんだけど。
運が悪いのか、順番待ち記入用の紙を見に来た店員と鉢合わせして。
「月島?」
「…ドーモ、コンニチハ。」
その店員が月島くんの知り合いというミラクルが起こった。
明らかな愛想笑いを浮かべる姿に、この店を嫌がった理由も判明。
「お前、会社近くなの?飯だったら、席空いてるぞ。」
「結構デス。」
「…そ。」
相手の方は、寧ろ好意的なくらいの顔しているように見える。
でも、月島くんは本当にこの人が苦手なようだった。
「…月島、忠告な。アイツ、悲しませたくなかったら、俺を敵視すんの、止めとけ。」
断りまで入れてたから、立ち去ろうとした時、後ろから聞こえた声。
月島くんが満面の笑みで振り返って。
「敵視してるように見えちゃいました?僕、そんなつもり無かったんですけど。
大体、僕が木葉さんに敵意持つ理由あります?まさか、俺の彼女モテますからーって自慢のつもりデスカ?」
分かりやすい挑発を返していた。
「…いーや。俺の勘違い。悪かったな、引き止めて。今度、機会あったら飯食い来いよ。」
向こうも挑発されたのに気付いただろうに、ヘラヘラした笑いを返してくる。
対応が大人だ。
それで、更にイライラしたのか、言葉も返さずに月島くんが歩き始め、それを追い掛けた。