第15章 お弁当
‐月島side‐
普通なら、深く突っ込んで聞くのは遠慮するような話だった筈なんだけど。
わざと、そういう言い回しをした筈なんだけど。
このヒト、遠慮って言葉を知らなかったみたいで。
翌日からも、昼休みに会社に居ると絡まれるようになった。
外に食事に出たくても、黒尾さんがりらの料理を詰めた弁当を毎日持たせてくれてるから、逃げ場が無い。
「今日も人妻ちゃん弁当だ。ホーント、そのコも物好きね。旦那さんのご飯より、月島くんのお弁当に気合い入れてる感じ。
もしかして、月島くんの事が好きだったりして。」
「有り得ないデス。」
こんな、やり取りを続ける事、数日。
土日を挟んで、月曜日。
今の食事当番は黒尾さんで、りらの料理が詰められた弁当は無く。
やっと、外で食事をする名目で、逃れられると思ってた。
「あれ、月島くん。今日はお弁当じゃないの?」
外に出ようとした時、呆気なく気付かれて、こんな事を言われるまでは。
肯定しようが、否定しようが、絡んできそうで無視をする。
まぁ、今までの経験上、このテのしつこいタイプが、それくらいで諦めないのは分かっていたけど。
「お弁当ないなら、さ。一緒にご飯行きましょう?先週だって、毎日のように一緒だったんだから、良いでしょう?」
「それは、そっちが勝手に絡んで…。」
「でも、月島くん、一回も嫌がらなかったじゃない。」
不都合な方向に話を進めてくれて、非常に面倒臭い展開になった。