第15章 お弁当
‐月島side‐
ついてないよ、全く。
転勤してきた東京本社に馴染み始めたと思ったら、変な女に絡まれて。
しつこくて仕方がないから、一回くらい食事に付き合おうとしたら、店が木葉さんの勤め先とか、何なの、ホント。
変な空気になったから、このヒトなら何か聞いてくると思ってたけど、無言でただついて来る。
それはそれで、困ってる状態の中で、更に追い討ちを掛けるようなメッセージが届いた。
【今日、ちょい遅くなるから飯はかおるさんの店な。当番は俺だから奢る】
人には、基本的に家で食事って話してきてたくせに、外食のお誘いトカ。
指定してきた店も、今日はちょっと会いたくないりらが居るトコだし。
タイミング悪すぎデショ。
すぐに返したメッセージ。
各自で食事を提案したのに、たまには良いだろ、と押し切ろうとするものが返ってきた。
「…月島くん?お昼、どうする?」
返信に迷っていると、思考とは違う話を振られてそちらを向く。
人と居る事なんか、すっかり忘れていた訳で。
「僕は、外回りついでに何か食べれば良いんで。そちらは、勝手にドーゾ。
事務員さんは、外回り出来ないデショ?」
今から一緒に食事の気分じゃないから追い払う。
このヒト、事務に回された事は少なからず腹が立ってるみたいだから、嫌味も添えれば僕への興味なんか無くなると思ったんだ。
それが効いたのか、すぐにどこかへ行ってくれたから、自分は社内に戻った。