第15章 お弁当
‐月島side‐
あと何回、りらが僕の為に作った料理を食べる事が出来るんだろう。
そう思ったら、何があっても棄てるなんて選択肢は無い。
なのに、口からは勝手にひねくれた言葉が出たんだ。
僕とりらのコミュニケーション方法の1つとして、言い合いをする事があるから。
それで、少しでも長く引き止めたかったかな。
諦めが悪いつもり、無かったケド。
りらの視線が、今でも欲しい。
「カッコ悪…。」
口から、つい漏れた声を拾う人は誰も居ない。
今日は、黒尾さんは仕事で遅いらしいから、この家には僕しか居ない。
本日分は、先程作ったばかりで盛り付けまでしてくれていたから、それを1人で食べて。
黒尾さんの分は、冷蔵庫に入れてメモを貼っておく。
あの人が、残す訳はないけど、りらの料理が棄てられるのは嫌だから、余ったらお弁当にでも、と。
その後は、1人で自由な時間を過ごして、黒尾さんの帰宅前に就寝したんだけど。
翌朝に、驚く事態が待っていた。
朝食を取り出そうと開けた冷蔵庫。
その中には、弁当箱。
メモが貼られていて、保冷剤は冷凍庫な、って…。
僕に、弁当を持っていけと言わんばかりの状態だった。
僕の分にしてくれって意味じゃ無かったんだけど。
昨晩と同じメニューのものだと分かっていても、棄てる事も置いていく事も出来ず。
それを持って仕事に向かった。