第15章 お弁当
2人とも、いい大人なんだし、わざわざ構ってやらなくても、何とかするのは分かっている。
それでも、私の性格上、約束を破る事は出来ず。
ノコノコと2人の同居するマンションに来てしまった。
当番は、1週間交代らしいけど、流石にその間毎日は難しいから、保存のきくものを作り置きして。
1週間分の献立を書いたメモの端には、温め方とか付け加えておく。
それを月島くんに渡して、滞在時間は数時間で帰る準備をする。
「黒尾さん、沢山食べる人だから多目に作ってる。もし余ったら、お弁当なり何なりして。
残されて、捨てられるのは嫌。ちゃんと食べて。」
「腐っても食べろって言うの?」
「1週間保存出来ないようなものは、冷凍にしてるから平気だと思う。それでも駄目そうなものは、捨てていい。」
注意を口頭ですると、返ってくるのは腹立たしい言葉。
でも、まだまだ暑い季節で油断は出来ないから、そこは譲歩した。
「じゃあ、帰るから。」
「…りら、あ…有難う。」
話を続けると苛々しそうで、早めに家から出ていこうとする。
一応は迷惑を掛けてる自覚があるのか、玄関まで見送りに来てくれた月島くんの口から、とても小さな声が聞こえた。
それだけで、やって良かったと思えてしまう私は単純で。
「どういたしまして。また、2週間後に来る。」
あっさりと機嫌を良くして、次回の当番時の約束をして帰った。