第14章 夏を1日で楽しむプラン
私が独りで居ると、結局は誰かしら構いに来てくれるものの。
誰かに相手して貰っている間は誤魔化せても、ちょっと会話が途切れると秋紀に会いたいとばかり考えて。
折角の、夏満喫プランも全く楽しめないまま、夕方近くになった。
バーベキューは終了して片付けをしていると、本日の終わりを感じる。
楽しめないどころか、虚しさばっかりが広がる1日だった。
早く帰って、秋紀の部屋に行きたい。
秋紀の布団に潜り込んで、その匂いだけでも嗅げれば落ち着く気がする。
そんな変態のような事を考えた罰が私に下る。
片付けを終えても、何故か誰も解散の話をしないのだ。
「よし!じゃ、あっち戻るか!」
しかも、遊園地の方にまた行くらしい。
意味は分からないけど、1人だけ帰るなんてワガママは言えずに同行した。
日も落ちてきたというのに、遊園地の中はとても混雑している。
人混みは苦手で、具合が悪くなってきたけど誰も気付いてくれる事は無く。
皆とはぐれてしまった。
仕方ないから、迷子センターでも行って園内放送でもして貰うか。
なんとか人混みから抜け出して、場所を確認すべく地図を取り出す。
それに視線を落とした時、上から大きな音が降ってきた。
爆発音に聞こえて慌てて空を見上げると、花が咲いている。
これが、目的で戻ってきたのだと納得した。
夏満喫プランの締め括り。
独りで花火を見上げるなんて、淋しすぎる。
涙が浮かびそうになったけど、視界が滲む前に何かに覆われて真っ暗になった。
「だーれだ?」
目元に触れているのは、暖かい手。
後ろから聞こえたのは、愛しい声。
風に乗って鼻に届くのは、求めていた香り。
「秋紀。」
名前を呼ぶと視界が開ける。
振り返ったら、そこにはちゃんと彼が居た。