第14章 夏を1日で楽しむプラン
人が大勢居ると、誰と話していれば良いのか分からない。
さっきまで会話していた月島くんは、すでに木兎さんと黒尾さんの年上酔っ払い組に絡まれていて。
助けたら、多分巻き込まれるから放置した。
やっぱり、やる事がある方が落ち着くからグリルの側に戻る。
そこにはかおるさんが居て、肉の世話をしていた。
「赤葦さん達は…。」
ここに居た筈の2人の姿が見えず、問い掛けると視線で示された簡易テント。
その中で並んで座り、みつが赤葦さんに寄り掛かってる。
「みつちゃん、飲み過ぎて眠いってさ。良い雰囲気だから邪魔しちゃダメよ?」
「邪魔すると思いますか。」
「りらちゃんはしないね。やるなら、光太郎だ…わ?」
2人を眺めながらかおるさんと会話していると、たった今名前を出された人がテントに近付くのが見えた。
そして、中に突入していく。
小さな簡易テントに、体格の良い成人男性2人と、平均よりは大きい女性1人。
なんというか、みっちりって感じだ。
赤葦さんが嫌そうな顔をしているのは分かるけど、みつを起こせないのか何も言う様子はない。
「光太郎、引き摺り出してくるね。」
苦い笑いを浮かべて、かおるさんもテントの方に向かった。
何か話しているのは見えても聞こえず。
数分して木兎さんが出てきたと思ったら、そのまま2人でお喋りを始める。
それぞれのパートナーと仲が良さそうに過ごしている2組のカップル。
幸せそうなのは良い事だけど、この場に秋紀が居ない事実を見せ付けられた気がして、苦しくなった。