第14章 夏を1日で楽しむプラン
‐月島side‐
黒尾さんから、皆の近況は聞いていたから、今の赤葦さんが女性として傍に置きたいのはみつなんだって、分かってるよ。
だから、わざと言ったんだ。
きっと、りらが怒って僕を見てくれるだろうから。
思った通り、僕を瞳に映したりらが目の前に立っている。
僕の為に作った笑顔をオマケして。
表情が希薄なりらが、僕の為に表現してくれるのが、嬉しいんだ。
そうやって、ずっと僕だけを見てくれたら良いのに、なんて。
もう、伝えちゃいけない感情なんだって分かってるよ。
りらを困らせる言葉だからね。
だから、せめて…。
「君、相変わらず不機嫌だけは分かりやすいよね。」
「わざとやってる。」
「それで?僕にご機嫌とりでもして欲しいの?」
「月島くん、そんな事しないの分かってる。」
「だろうネ。」
この一時だけでも、りらを独占出来るように言い合いという、僕達のコミュニケーションをとる。
でも、この場には、空気を読まない木兎さんが居て。
「ツッキー!りらちゃんばっかと喋ってんなよー!俺とも久々に会ったんだからさー!」
後ろから肩を組まれ、あっさりとりらを独占出来る時間を奪う。
「木兎、んなにベタベタすんな。月島が嫌がってんだろ?」
その上、感情を読めるお節介な黒尾さんも居て。
「…お前が後で辛くなるぞ。」
木兎さんを引き離してくれたは良いけど、僕にだけ聞こえる小さな声で、余計なお世話な一言を落とした。