第14章 夏を1日で楽しむプラン
お酒を口にしながら、鉄板と網を並べたバーベキューグリルの世話をせっせとしている。
肉を置くと、すぐに木兎さんが取りに来て、生焼けでも食べようとするから、それを止めるのに必死になっている。
そんな事をしていたら、私自身は殆ど食べられないのだけど。
私は酒があれば良いし、食べ物の世話をするのは好きだから別に良かった。
「りら、食べてないよね。俺が肉の世話はするから、少し食べて。」
でも、私の世話を焼きたがる人は居るもので。
こういう時、すぐに気付くのは未だに私を観察している赤葦さんだ。
私より、みつを構えば良いのに。
そう思ったけど、みつは酔っ払って久々に会う月島くんに絡んでいる。
面白くないから、私を構いに来たのが分かった。
みつを止めて、赤葦さんの元に行かせないと、後が大変そうだな。
少しの間、食べ物の世話は任せる事にしてみつの傍に寄った。
「みつ、月島くんに絡まない。赤葦さんの機嫌悪くなる。」
「え?京治がヤキモチ?やーんっ!そんな珍しい事してくれるなんて嬉しいっ!」
そこまでは言っていないけど、酔っ払いには都合の良い解釈しか出来なかったようだ。
すぐに月島くんから離れ、赤葦さんに駆け寄っていく姿を見送りながら、溜め息を吐いた。
「まさか、赤葦さんがみつと…とは、ね。あの人の事だから、りらの傍に居る手段として、じゃないの?」
不意に耳に入ってくる声。
目を向けると、怪訝そうに眉を寄せている月島くん。
あの2人は、色々あって。
苦しいくらいに悩んで、今がある事を知っている私には許せる言葉ではない。
不愉快だと伝える為に、わざと笑顔を作って向けた。