第14章 夏を1日で楽しむプラン
不毛なやり取りをする2人は放っておくことにして、全員が揃ったから食材を焼き始める。
辺りに肉が焼ける音と煙が広がりだすと、いち早く反応するのが木兎さん。
月島くんを追うのを止めて、早速皿を持って鉄板の側に来た。
一番にお肉をあげないと五月蝿いから、焼けたものをトングで掴んで木兎さんの皿に移動させる。
「オイ、コラ。準備は全部俺達で、最初に食うのはお前か。」
だけど、木兎さんが口に運ぶ前に黒尾さんが止めた。
「別にいーだろー。肉、まだあるんだし。黒尾も食えばいーじゃんか。」
「先に俺達に言う事は?」
確かに、待たせて悪かったの一言くらいあるべきである。
用意はしないで食べる専門で許されるのは、子どもだけだ。
「イタダキマス!」
ただ、木兎さんは子ども並の頭しか持ち合わせていなかった。
求めていたのが謝罪とは、欠片も思っていないらしい。
皆が揃って、違う、と突っ込みを入れたけど、少しも分からない様子で食事を始めてしまった。
「ごめんね。光太郎の分も私が謝るから許して。」
代わりに頭を下げるのは、やっぱりかおるさん。
それを見てても、木兎さんは意味分からないとばかりに首を傾げている。
「や、アンタは木兎に引っ張り回された被害者側だろ。謝んないで大丈夫デス。別に雰囲気悪くしたい訳じゃねぇし?
つーか、怒る気も今ので失せたわ。俺等も食うか!」
黒尾さんが首を振って謝罪を拒否し、この話を終わらせて、皿やら飲み物を配った。
「フライングしてるヤツも居るが、取り合えず…。カンパイッ!」
木兎さんにチクりと嫌味を言うのは忘れずに、乾杯の音頭を取る黒尾さん。
本格的なお食事タイムに突入し、私も酒にありつけた。