第14章 夏を1日で楽しむプラン
バーベキュー場で仕込みを始めた頃に、黒尾さん達とは合流した。
赤葦さんとみつは月島くんを見ても驚かなかったから、多分黒尾さんから話を聞いてて。
驚かされたのは自分だけというのには、少し腹が立ったけど文句を言っている暇は無い。
木兎さんが来た時に、すぐに始められないと五月蝿いだろうから、それに間に合うよう仕込みを終わらせないと。
調理中の私に話し掛けるような人は居らず、皆も皆で簡易のテントを張ったり、バーベキューのグリルを用意したりしていた。
そして、全ての準備が終わったけど。
木兎さん達は中々現れなくて。
とうとうキレてしまったのは、木兎さんの世話役である赤葦さんで。
「迎えに行ってきますね。このままだと、飯の存在忘れて遊び続けて、あの人倒れます。」
歩き去る時に残していった言葉には、呆れと怒りが込められていた。
しょぼくれた木兎さんは面倒臭いし、ご機嫌取りするのは嫌だから、お説教を止める為にみつも行かせようとしたけど。
「京治が、私の言う事なんか聞くと思ってる?止めるだけ、無駄。」
あっさり断られ、皆で待つ事になった。
数十分後、やっと合流した木兎さんは月島くんを見るなり、引っ張ってきたかおるさんの手を離し、抱擁をしようとして。
月島くんが避ける、それでもしつこく腕を広げて近付く、の繰り返しをしている。
月島くんは可哀想だけど、木兎さんがしょぼくれずに戻ってきたから、満足するまでやらせておこうと思った。