第14章 夏を1日で楽しむプラン
‐かおるside‐
赤葦が来てくれて助かった。
きっと、光太郎は鬼だとか思っているだろうけど、このタイミングで現れてくれたのは、私からしたら神だ。
だって、時間が気になって心底は楽しめなかったし。
暑くて私の体力は奪われていくのに、光太郎の体力は尽きる事が無くて休めなかったし。
本当に、クタクタだった。
「アンタがバーベキューしたいって言ったんでしょう。それなのに、遊びに夢中で遅刻なんてどういうつもりですか。」
目の前で、お説教が始まって、光太郎がどんどんしょぼくれていく。
赤葦からしたら都合が良かったみたいで、完全に落ち込んだ木兎を更衣室に連れていった。
自分も女子更衣室に入って着替える。
これ以上は、周りに迷惑を掛けられないから、髪も濡れたまま外に出た。
そこには、すでに着替えた光太郎と赤葦が居る。
「早く行きますよ。」
私を確認した赤葦は、さっさと一人で歩き始めた。
光太郎の方は、しょぼくれ継続中で動こうとしない。
「光太郎、お肉だよ?皆でワイワイご飯食べられるんだよ?」
この大男を私が引っ張るのは無理だから、立ち直って貰おうと声を掛けた。
それで、本来の皆で楽しむ夏満喫プランを思い出したのか、目を輝かせて顔を上げる。
「そうだな!なんたって、バーベキュー!肉たっぷり!早く行こうぜ?」
たった今まで、落ち込んでいたとは思えないくらいの明るい声を出し、私の手を握ると出入口に向かって走り出した。