第14章 夏を1日で楽しむプラン
‐月島side‐
まったく、黒尾さんって人は…。
人を驚かすのスキだからって、コレは無いんじゃない?
せめて、僕がこっちに戻ってきた事くらいは、話しておいてくれたら良かったのに。
ソコから説明、なんて移動中に話が終わる訳がない。
「…僕、9月の頭から東京勤務なんだよね。転勤ってやつで。
それで、今、黒尾さんと同居してるんだよ。独り暮らしするより、経済的だし。」
「なんで、黙ってたの。」
とにかく、少しでも簡潔に済ませようと始めた話。
でも、すぐに口を挟まれて、先に進めなくなった。
そんなの、言える訳がないから。
りらの傍に戻りたくて、異動希望を出し続けていたけど、叶った時には人のものになっていた。
今更こっちに戻って来れても意味が無くて、りらとの接触を出来る限り避けたかった。
「…木兎さん知られるの、嫌だったんだよね。あのヒト、おかえりパーティーとか言って、勝手な飲み会企画するカラ。」
「確かに。」
本心を隠して、接触したくなかったのは別の人という事にしておく。
単純なりらは、あっさりと納得していたけど。
「それなら、なんで、ここに来たの。」
その会いたくないと示した人の計画した、本日のイベントに現れた事には納得出来なかったみたいだ。
「いつまでも、皆を避ける訳にはいかないデショ。だからって、飲みは付き合いたくないんだよ。今日なら、ドライバーって名目で酒からは逃れられるよね。」
これには、先に用意していた答えをサラっと吐いて返す。
やっと、全てに納得したかのようにりらが黙ってくれた。