第14章 夏を1日で楽しむプラン
赤葦さんが、予定外に早く戻ろうとしたから、慌てて黒尾さんに連絡はした。
みつに手を出そうとしてたから、赤葦さんの戻りを気にしてたのかと思って呆れたけど。
どうやら、2人の仲を取り持つ為にやっていたようで。
赤葦さんが言うなり、みつをあっさりと離して席を立った。
入れ替わりでみつの隣に座った赤葦さん。
みつの顔をじっと見て。
「みつ、好きだよ。勿論、ラブの意味で。」
サラっと、何でもない事のように、安定の無表情で言っていた。
「何で、今?」
「一生の内、一度くらいなら言ってあげても良いと思ったからね。」
「えー!じゃあ、この先死ぬまで言って貰えないの?」
「言わないよ。次からはお前の事、貶し続けるから。そんな男に相手して欲しいんだろ?」
「惚れた弱味なんだから、仕方無いじゃん!」
珍しい事をした赤葦さんに、こっちが呆然としてる間に2人の会話は進み。
レストラン兼、休憩所なんて人の集まる場所で、軽く修羅場を演じていたから完全に目立っていて。
丸く収まった2人に、盛大な拍手が贈られていた。
目立つのは嫌いだし。
2人を見ていると、秋紀が居ない事が淋しくなってきて。
さっさと、休憩所から抜け出した。
帰ったら、電話が掛かってきそうなのは予想出来る。
かといって、カップルだらけの遊園地を歩き回るのは辛い。
1人でも買い物くらいは行けるし、バーベキュー場で仕込みでもして皆を待つとしよう。
一応、再入場出来るようにスタンプを貰って、遊園地から出た。
「…りら、人の事、何時間待たせる気?」
遊園地の出入口前、駐車場を横切ろうとした時に掛かる声。
知っている人のものだけど、有り得ないという言葉ばかりが頭を巡って、振り返れなかった。