第14章 夏を1日で楽しむプラン
‐みつside‐
京治は、本当に私の事が好きなのか分からない。
ぼっくん達と離れてから、ここに来るまでにされたお説教は、酷いものだった。
私がバツイチってマイナス要素を持っている事とか。
素直じゃない、可愛いげがない性格の事とか。
私に言い寄る男は表面しか見てない体目的ばかりだ、とまで。
最後には、そんな私を本気で相手するのは俺だけ、って、お決まりの台詞は言うけど。
思い出せば、好きとか、愛してるとか、一度も言われた事が無くて、信じられない。
凄く苦しいのに、本人の前で泣いて面倒臭がられるのも嫌だし。
姉ちゃんの前で泣くのも嫌だから我慢してたけど。
テツローくんが、気付いてくれたから、その2人は出ていった。
真横で、椅子を動かすような気配。
目だけ向けると、テツローくんが隣に座ってて。
それでも、私の方じゃなく正面を向いていた。
「お前の事なんか、見てねぇよ。人間観察シテマス。だから、何言われても聞こえるか分かんねぇし、どんな顔してても気付かないだろうな?」
強引に言わせる訳じゃない、吐き出したいなら言えば良いってスタンス。
泣いても見てないよ、って伝えてくれる気遣い付き。
この優しい色男に甘えて、京治に言われた事を吐き出した。
言葉にすると、涙が出てきたけど、隣の優しい男は突っ込みもしないし、慰めもしない。
見ていないって状態を貫いてくれた。