第14章 夏を1日で楽しむプラン
別に私と、どうこうなりたい訳じゃないのは分かっている。
だからって、口説き文句のような事を知り合いの彼女に言うか、普通。
相手をするのも馬鹿らしいし、アトラクションにも興味がないし。
プールを断ったから、持ってきた荷物が邪魔になっているのもあるし。
とにかく、この暑い中で広い園内を歩き回りたくないし。
様々な理由があるから、フードコートのような所があるなら昼食まで待ちたい。
園内地図を広げて、長時間の居座りが可能そうな場を探す。
「何?りら、意外にやる気満々?どれから乗ろうか。」
横から、同じく地図を眺めて、お得意のニヤニヤ笑いをしている黒尾さん。
この人の事だから、私が遊園地に興味がないのくらい知っている筈だ。
だから、探しているのはコースターとかのアトラクションじゃなく、レストラン系の休憩出来る場所だって分かってる。
それで、こんな事を言うのは、きっと。
否定系の冷たい台詞で返されるのを待ってる。
私が機嫌を悪くしてるから、そこから普段通りに会話出来るようにしたいんだろう。
まぁ、私だって険悪な雰囲気のまま、皆と再度合流するまで過ごすのは嫌で。
「…違います。」
望まれた通りだろう言葉を吐いた。
「じゃ、ドコ行きたいんだよ?オニィサンが付き合ってやっから。」
ここから会話を続ける流れが出来て、あまり動きたくない旨を話す。
すると、地図上を少し動いて、1点を示す指先。
そこには、夏限定の海の家をモチーフにした場所があった。