第14章 夏を1日で楽しむプラン
そして、開催日当日。
待ち合わせ場所の駅に着くと、2組の男女ともう1人。
「りらが一番遅いとか珍しいな?どうせ、木兎辺りが遅刻すると思ってたんだが。」
「木兎さんは、かおるさんに叩き起こされたのでは?…それより、なんで黒尾さんが居るんですか。」
ホテル業界で、飲食業と同じく土日は休みが取り辛いだろう、その人が居た。
「だって、木葉来なかったらりらちゃんロンリーじゃん。黒尾に遊んで貰えよ!」
「…って訳だ。夜勤明けだから、途中で寝たら悪ィな。」
どうやら、木兎さんが相手の都合も考えず呼んだらしい。
私の為、なんて言い方してるけど本心は、人数が多い方が楽しいから、だろう。
来て貰っておいて、遠慮するのは気が引ける。
仕方無く、黒尾さんとのペア扱いを受け入れる事にして、電車に乗り込んだ。
移動中から騒がしいのは、勿論木兎さんで。
「ここ、ケッコー高い飛び込み台あんだぜ?楽しみだな!」
「光太郎1人で行ってよ?私、下で格好良いトコみてるから。」
「おぅ!惚れ直させてやっからな!」
かおるさんに、上手い具合に操られていた。
仲が良いようで何よりだ。
「お前、見た目だけは良いからナンパされるだろうけど。性格が悪すぎて、相手に悪いから着いて行かないように。」
「普通に心配してくれた方が、嬉しいんだけどなぁ?」
「みつより、心配なのはりらだ。」
「そうだね。姉ちゃん、ビックリするくらい警戒心無いから。」
「だからって、お前の事を全く心配していない訳でも無いけどね。」
「京治が素直だ…。雨降るよ。」
「うるさいな。」
もう1組のカップルの方も仲が良く。
本当のパートナーが一緒に居ない私は、この空気の中で黒尾さんと会話する気にはならなかった。