第14章 夏を1日で楽しむプラン
赤葦さんと妹の事やら、実家に秋紀を紹介するやら、色々な事があって過ぎ去ろうとしている夏。
そのどれもが、円満に解決したのは運が良いと我ながら思っている。
そうやって平和な日常を、今度こそ取り戻した。
…筈、だった。
「そういや、さ。せっかくの、夏!なのに、らしい事をなんもしてねーのは、なんだっけ?そうだ、あれだ!
ゆゆしきじたいってやつだ!」
木兎さんが、こんな事を言い始めるまでは。
因みに、ここはかおるさんのお店。
1日の営業が終わり、片付けをしている最中である。
この後、飲みに行く為に、待っていた木兎さんは前置き無く、喋り始めたのだ。
「そうねー。でも、お祭りとかは殆ど終わっちゃってるから、やれる事ないねー。」
「じゃ、プールくらいだったらいーだろ?後、バーベキューとか、やんね?」
まるで、子どもを宥めるように緩やかな喋り方で、断りを含めた言葉を返すかおるさん。
木兎さんは、それでも諦めず、まだ今からでも出来そうな事を提案していた。
2人の、デートプランの話だ。
邪魔をしようとは思ってないから、黙って話が終わるまで待とうと思った。
「いや、プールは良いとして、バーベキューとか2人でやっても楽しくないでしょ。皆でワイワイやった方が良くない?」
だけど、何と無く巻き添えを食う予感がしてきて。
「かおるさん、今日は早く秋紀と会いたいので失礼しますね。」
「それだったら、木葉も呼んで、バーベキューのお話しましょ?」
逃げようと思っても、出した理由が不味く、逆手を取られてしまう。
すでに巻き込まれが確定して、諦めの息を吐きながら秋紀に連絡を入れた。