第13章 お食事会
予約の予約、は私にとっても丁度良い。
結婚はまだ考えてないし、婚約もしたくないけど、意識はしておいて欲しいとか思っていた我儘を、叶えてくれる理想的な形だ。
端から見たら変なのかも知れないけど、私達がお互いに納得してるなら、周りの目など気にする事はない。
気持ちが上手く繋がっている感じがして、空気に流されて唇を受け入れようと目を閉じたけど、邪魔が入ったようだ。
別に、誰に見られていようと私はキスくらいしても良かったし。
「するならするで、早くして、来て下さいよ。」
赤葦さんも、こう言ってくれたのだけど。
「後輩にガン見されながら、キスとか出来ねぇよ!」
「俺の事はお気になさらず。置物だとでも思って頂ければ。」
「随分とデカイ置物だな!?」
秋紀が完全に拒否の状態で、私から離れた。
だけど、手だけは離れず、寧ろしっかり握られている。
この人は、絶対に手放したくないと心から思った。
「秋紀の事、紹介させて。」
だから、勝手に決められていた本日の挨拶を受け入れて、自分から家族に話したい。
秋紀は、照れたような、喜んでいるような、何とも言い難い顔をして頷いてくれた。
「木葉さん、顔がうるさいですよ。」
「うっせ。嬉しいけど照れ臭いし、りらからこんな事言うとか驚いて、どんな顔したら良いか分かんねぇんだよ。」
「どんな顔しても、大して変わりませんけどね。」
「俺の扱いヒドいな、オイ。」
私は突っ込めなかった表情に赤葦さんが突っ込む。
そこからは、2人の言い合いを聞きながら客間に戻った。