第13章 お食事会
秋紀は片付けの手も止めず、私を横目で見て気まずそうにすぐに視線を外す。
笑顔を作ったつもりはないけど、不機嫌なのは悟られているようだ。
一言も喋ってはくれない。
自分から喋るのは苦手で、話を拒否の姿勢になられてしまうと、何を言えば良いのか分からなくなってしまった。
無言の時間が続いて、その間に片付けが終了してしまう。
「…りら、あのさ。」
「何。」
やっと、聞こえた私に向けられる声。
顔は向けずに、聞く姿勢を示す為に言葉を返した。
私の顔を見ていると、真剣な話が出来ない人だと知っている。
だからって、いつもの、あの体勢を取る訳にもいかないから、最大限の譲歩だ。
「どこから、話したら良い?」
私が、何故不機嫌なのかは分かっているようで。
誤魔化したりするつもりは無さそうで安心した。
「最初から。私、何も知らない。秋紀が、何でうちに居るのか、料理作ってたのか、分からない。」
全部話して貰わないと、状況を理解出来る気がしない。
父は、私を台所に来させたくないようだったから、秋紀が料理をしているのを知っていた。
この間は、険悪な感じだったのに、家に上がらせ、台所を使わせるなんて。
何が、どうなったら、こうなるんだ。
この疑問を解決するには、話して貰わなきゃならないから、秋紀の言葉を待っている。
「りらの、親父さん、うちの店に来たんだよ。木兎だか、赤葦だかの情報だろうけど、な。」
聞き取りやすいように、ゆっくりとした喋り方で、話が始まった。