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【HQ】繋がる縁の円

第13章 お食事会


普通なら玄関で軽く会話をしてから、立ち話も何ですから、なんて言って通すものだろうけど。

「ご飯出来てます。早く上がって下さい。」

元々が知り合いである私には不要なものだ。
意味のない会話も苦手だから、さっさと済ませて客間へと戻り始める。

「2人で挨拶なんて、結婚するの。」
「違うよ。挨拶じゃなくて、紹介。」
「紹介しなくても赤葦さんは、お父さんの友人で家族も知り合い。」
「でも、私、一回失敗してるから、同棲状態で京治のトコに居るの心配されるだろうし。
お母さん達は、新しい彼氏が京治だって知らないからね。」

歩きながら、気になっていた事を妹に問い掛ける。
答えには納得が出来たから、それ以上の会話もなく、客間の襖を開いた。

そこで、違和感を覚える。
食事が、8人分あるのだ。

家族は、両親と私を含めた4人姉弟。
用意された食事は、紹介される赤葦さんを入れて、7人前であるのが正しい。

さっきは分からなかったのは、元々が6人家族で。
長方形のテーブル上に乗る料理は、完全に対称で並べられるのが当たり前だったからだ。

今回は来客が赤葦さん1人なら、片側に1人分多くて非対称になる筈なのに。

じゃあ、残りの1人は誰だ。
きっと、この料理を作った人だろうけど、予想は出来ても有り得ない答えが浮かぶだけだ。

「お父さんは、京治の事よく知ってるだろうから、お母さん達が来てから紹介するね。」
「それでいい。取り合えず、座りなさい。りらも、だ。」

ずっと気になっているし、台所に行って誰か確認したかったけど、父の言葉によって阻まれて、渋々腰を下ろした。
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