第13章 お食事会
時間的には夕方で、本当に紹介するだけでみつ達が帰る訳がないだろうから、夕食は実家でという事になるだろう。
実家で食事、か。
デリバリーなんかに頼るのは母が嫌いだから、手料理を振る舞う事になるんだろう。
それで料理要員として私を使いたいから、連れて帰るんじゃないだろうか。
こんなに気分が落ち込んでいる時に、都合良く扱うのは止めて頂きたい。
この予想は、まさかの外れだった。
家に着いて、どうせ手伝わされると思って台所に行こうとしたけど止められる。
この時点で不思議には思ったけど、手伝いが無いのは楽といえば楽だったから、みつ達を通すだろう客間に向かった。
設置されたテーブル。
その上に乗っているのは、明らかに家庭料理ではない。
大皿料理は無く、1人前ずつ分けられて、並べられて。
まるで、ちょっとした旅館での食事のようだ。
見た目の良い盛り付け、料理の配置。
何から何までプロが店で出すようなレベルの、和食。
母だって、料理は下手では無いけれど、家庭料理の域を出ない。
これは、間違いなく料理の仕事に関わる人間の作ったものである。
では、誰が作ったのか。
台所を確認しようと思ったけど、タイミングが悪い事にインターフォンの音が聞こえてくる。
「りら、出迎えに行きなさい。」
上座に腰を下ろしている父に指示をされて、台所には行けず。
仕方無く玄関の方に向かった。