第12章 遭遇しちゃ駄目なやつ
取り残された私と木兎さんは、どうすれば良いか分からず。
「お前達は、上がりなさい。」
促されて、家に入る事になった。
これは、木兎さんを、皆との関係を許してくれた証だから断れない。
居間に案内されて、そこから始まるのは、晩酌で。
すっかり、許された気分の木兎さんは、すぐに酔っ払っていた。
私は、木兎さんが口を滑らせないか心配だし、元々強いのもあって酔えない。
2人の会話は、殆どが秋紀の事で、父なりに彼の事を知ろうとはしてくれている事が分かった。
その内、木兎さんは潰れてしまって、本日は実家に泊まる事になる。
客間に木兎さんを転がし、父と2人きりで酒を飲んでいた。
「…大事に、な。」
「何を。」
「お前の仲間と、彼を、な。」
「認めないんじゃなかったの。」
「娘を取られる父親の気持ちは、お前には分からんよ。無職だったり、借金があったり、女癖が悪かったり…。責めやすい部分を掴めば、取り合えずは反対するものだ。」
「…そう。」
酔っているのもあったんだろう。
父から、意外な話が漏れる。
認めたくないのは親心。
だけど、認めなきゃならないって、どこかで分かっている。
「…今度は、秋紀と2人で来る。」
謝りに来るんじゃなくて、彼氏としてちゃんと紹介したい。
親に隠さなきゃならない、後ろ暗い付き合いじゃないから。
父の本音を知れて、昨日の遭遇してしまった不運に感謝した。