第12章 遭遇しちゃ駄目なやつ
父が帰って一安心、なんて事は無く。
店内でトラブルを起こした私達は、すぐに店から追い出された。
「りらちゃん、ゴメンな?父ちゃん殴っちゃったし、店の出禁なっちった…。」
店先で、木兎さんが分かりやすく落ち込んでいる。
「いえ、逆に有難う御座います。木兎さんが殴らなかったら、私が叩いてました。」
私には怒る理由など無かった。
寧ろ、秋紀の為とはいえ、私の中で勝てなかった筈の存在を打ち負かしてくれた事は嬉しい。
私が叩いても効果は薄いどころか、更に怒って何を仕出かしたか分からない人だから。
「父の事は、どうでも良いです。元々、私は家出娘で、実家には殆ど顔も出してませんし。
それより、ご飯はどうしますか。」
思い出すだけで、3人して腹が立ちそうだったから、話を終了させて、別の話題を出す。
「いやいや、ご飯より問題はりらちゃんのお家の事ね?りらちゃん、木葉と結婚とかなった時に、どうすんの?」
「まだ考えてないですが。まぁ、昔みたいに、結婚は家と家じゃないから平気です。」
「あちらの、ご両親にどう説明するの?家出娘だから親子の縁が切れてます、なんて印象悪いの分かってる?」
だけど、話を終わらせてくれたなかったのはかおるさんで。
まだ、現実として感じる事がないものを理由に、説教が始まった。