第12章 遭遇しちゃ駄目なやつ
秋紀の仕事が長引いている事にして、本日は店に来ない事を父に告げる。
それでも疑っているのか帰りはせず、閉店の時間まで居座り続けてくれた。
「お父さん、帰って。閉店だから、店に迷惑。」
声を掛けると、会計は済ませてくれて。
「仕事が終わったなら、食事でも行くか。」
私にとって、最高に不都合な台詞を吐いてくれる。
「お父さん。りらさんには、賄い代わりに私がご馳走しているので、親子での食事は今度にして頂けませんか?」
断りの言葉を考えている内に、かおるさんが断ってくれたけど。
「別に、りらちゃんの父ちゃん居ても良くね?人数多い方が楽しいだろ。」
何にも考えていない木兎さんは、乗り気だった。
こうなると、最終的にはかおるさんが押され負ける。
木兎さんには絶対に敵わないのは、正に惚れた弱味と言うやつだ。
「…かおるさん、すみません。父も一緒に良いですか。」
ここで、結果の分かりきった言い合いをさせても時間の無駄。
早めに諦めて、食事の数時間だけ我慢すれば良い。
「りらちゃんが良いなら、大丈夫だけど…。」
かおるさんにも、それが伝わったのかすぐに諦めてくれて。
さっさと着替え、普段とは違う4人組で店から出た。