第12章 遭遇しちゃ駄目なやつ
※ここからは、メイン夢主に戻ります。
‐○○side‐表記無しはりらsideになります事をご了解下さい。
どうせ、あの2人は上手くいく。
何たって、あの赤葦さんが勝算の無い事をやる訳がないから。
心配するだけ無駄である。
それよりも、私の気持ちを重くさせるのは…。
「いつもりらが、お世話になっております。」
「いえ、こちらこそ。りらさんは、しっかりした娘さんで助かってますよ。」
「いやいや、この子は昔から愛想が無くて。接客なんて向かないものですから、ご迷惑をお掛けしているかと…。」
この、父親の存在だ。
なんとか、かおるさんが応対してくれているけど、どうにも父にイラついているようで。
「うちのお店、りらさんが居ないとやっていけませんよ。真面目で、素直で、お客様からも人気あるんですよ。」
笑顔を浮かべる唇の端がヒクヒクと痙攣している。
身内を悪く言うのは、こんな場面じゃ当たり前。
一々怒っていたら、かおるさんの身が持たない。
「バンワー!」
止めようとした所で、タイミングよく開いた扉。
入ってきたのは木兎さんで。
普段は空気の読めなさに、苛々するけど。
「あり?りらちゃんの父ちゃんじゃん。ドーモ、こんばんは。」
今は、それが有難い。
木兎さんは、断りもせずに父の隣に座っていた。
それで、安堵したのはかおるさんも同じようで。
振り返った瞬間の顔は酷く疲れていた。