第11章 裏で動いた恋模様
‐赤葦side‐
ピアスの贈り物の意味を、みつは知っているだろうか。
体に傷を付けてまで身に付ける上に、アクセサリーの中では付けっぱなしにしやすいそれは、独占欲の証だよ。
もう、君を手放してやる気がない。
嬉しそうに、ピアスを元からしていた物から俺の証に付け替える姿を、カードを片付けながら横目で見守る。
「ケージくん、似合う…かな?」
「悪いけど、俺、そういうの疎いから。」
「嘘でも良いから似合うって言ってくれたら、いいのにー。」
「嘘つきは最悪だって言ったよね。」
「その節は、本当にスミマセンでした。」
こんな物で、喜んでくれるのは可愛らしいと思うし。
俺の中では、みつが一番の筈で。
何を身に付けても、似合うと言ってやりたいと思うのだけれど。
何故か、コイツを褒める事が出来ない。
本当に、素直じゃなくて。
ひねくれ者で。
その上に、意地が悪いを加えた、最悪の性格をしているのは、自分の方だ。
でも、みつが俺に心酔している間は離れていく訳は無いと分かっているから。
このままでも良い。
相も変わらず、恋愛面では狂っている思考を完全に受け入れて。
「帰ろうか。みつの事、面倒を見るって熊野さんにも話してあるから。」
やっと手に入れた俺だけの獲物を、巣に持ち帰る。
このまま家に閉じ込めて、2度と人目に触れさせたく無いとまで思う程に、彼女に執着していた。