第11章 裏で動いた恋模様
‐みつside‐
悪い部分を口に出していくと、どんどんと自覚して落ち込んでいく。
涙まで零れそうで、歯を食いしばって耐えた。
「不細工。」
「…え、ちょっと待って。それ、告白してる相手に言う?」
思いもよらない言葉が返って、涙が引いていく。
「言うよ。お前、りらに比べたら性格は底辺レベルだし。人の家、出ていくにしても布団すら畳んでないし。
どうせ、りらと偶々でも会って、変な劣等感で負けた気になって。フラれるより前に離れようとして、嘘吐いただろ。嘘つきまで加わったら最悪だ。」
「あ、うん。それはゴメン。」
私を責める言葉は増えて、本当は嫌いだから上げて落としたセンが濃厚になってきたけど。
「そんな、お前を相手にしてやれるの、俺くらいだろ。」
前にも聞いたような台詞を、勝ち誇ったような顔で吐いてきた。
ケージくん以外でも、いる。
まだ、若くて綺麗な今の内は。
だけど、ここでまた可愛くない事言ってたまるか。
だって、可愛くない性格の私を、相手にしてくれるって、言ってくれてるんだ。
「…ケージくんしか、いない。」
私は、姉ちゃんじゃないから、つまらない意地を張る程、頑固でもない。
やっと口から素直な言葉が吐き出せた。
「それで、良いんだよ。」
ふっ、とケージくんが表情を緩める。
好き、付き合って、そういう告白じゃなかったし。
返事も、なんかちょっと変な気はするんだけど。
この瞬間から、私とケージくんの関係が変わったと分かった。