第11章 裏で動いた恋模様
‐りらside‐
なんとなく、だけど。
昨日の話の中で、赤葦さんの気持ちを変えたのは、みつじゃないかと思っていた。
それが、今、確信に変わった。
ヒント側の私と赤葦さんだけが知る、自分チームの味方に取らせる単語情報。
赤葦さんが、みつに取らせたがっている3枚は…指輪、ドレス、教会。
多分、これが赤葦さん側にいくように仕組んでいた。
なんて、回りくどい告白なんだろうか。
いや、この内容だとプロポーズだ。
「みつ、自分に絶対当てはまらないもの、排除したら。」
意味が分からない顔で悩み続けているみつに助け船を出した。
教会はともかくとして、指輪だったり、ドレスだったりは、女性を連想するから、すぐに省く事はしないだろう。
その2つが分かれば、きっと教会に繋がる。
お父さんが、ムッとした顔をしたけど無視をした。
「パイロット、ミサイル…は、違う。南極…も、ない。」
ぶつぶつと、テーブル上に残った単語を呟いて、仕分けをしているみつの姿。
やっと気付いたのか、呟きの声が止まって、赤葦さんの方を向いた顔は、分かりやすく真っ赤になっていた。
「お父さん、帰りましょう。」
「何でだ?」
「私は、馬に蹴られたく無いので。」
席を立って、父親にも起立を促す。
私の台詞で、何か思い当たる節があったのか、笑顔を浮かべて立ってくれた。
帰り道で聞いた話。
本日、赤葦さんから呼び出された父は、娘さんの面倒を俺に見させて下さい、なんて言われたらしい。
だから、最初はその娘が私の方だと思っていたようで、なんとか上手くいかせようとしていた、との事。
お気に入りである赤葦さんが、義理の息子になるかも知れない可能性は喜ばしいようで。
相手が、どの娘かは関係が無かったみたいだ。
そんな訳で、妙にご機嫌の良い父が手伝いをしている店に着いてきてしまったのは、また別のお話。