第11章 裏で動いた恋模様
‐赤葦side‐
カードを使うゲームで、イカサマをするのは得意だ。
このゲームで使われるカードの単語は、400程あるし。
その中で、1ゲームに使う単語は25しか無いけれど。
欲しい単語が、自分側のチームが当てる位置に配置する事くらい難しくはない。
予定通り、俺にとって都合良く並べたカード。
後は、ヒント役になれれば全て上手くいく筈だ。
「このゲーム、ヒントを出す方が難しいから、俺がやって良い?」
みつが、俺からの提案を拒否する訳はないから、言葉にするだけで大丈夫だろう。
思った通り、声こそ発しないながらも、頷いて了解してくれた。
「…じゃあ、始めましょうか。そちらのヒント役は、どちらですか。」
「私です。」
りら達の方も、役目は決め終えたのかカードを眺めていたから声を掛けて。
その回答に少し驚きはしたけれど、平常心を保ったまま、味方に選ばせる単語配置が示されたカードをりらに渡す。
「そっちからで良いよ。」
先手は向こうに譲って、ゲームが始まった。
始めのりらの一手。
「赤、3枚。」
「りんご、ポスト…と、羽根、か?」
熊野さんの答えは、全て正解。
その3つの単語に、りらチームのタイルが置かれる。
りんごやポストは、ダイレクトに赤い物だけど。
まさか、りらが最初から【‘赤い’羽根】なんて連想もののヒントを出すなんて思わなかった。
この分だと、数枚ずつ当てられるヒントを出され続けてしまいそうだ。
「じゃあ、次はこっちだね。…みつ、ヒントはりらで2枚。」
それなら、こちらも早い内に仕掛ける。
本来なら、もう少し枚数が減ってからにしたかったけれど、やるしか無かった。