第11章 裏で動いた恋模様
‐みつside‐
店に入ると、店員さんに相席オーケーか聞かれる。
確かに、2人で遊べるものには限りがあるし、姉ちゃんは、あまりゲーム強くないし。
他人とやるのも、面白いんだけど、姉ちゃんが嫌がるよな。
「…大丈夫です。」
私が答える事は出来ずにいると、予想に反した声が隣から聞こえた。
案内されたのは、4人掛けのテーブル。
対面で座っていても、何をしようか、とか話す事もなく。
「2人で出来るの、何か持ってくるね。」
無言の時間に耐えられなくなって、ゲームが並べられている棚の方に移動した。
思った以上の品揃えに、ちょっと感動して、面白そうなものを物色する。
その中で、やってみたかった物を発見した。
でも、これってチーム戦なんだよね。
ヒントを出して、自分のチームの人に単語を探してもらうってヤツ。
1対1じゃ、無理だ。
諦めて溜め息を時、私の背後から、そのゲームの箱に向かう手。
長い指、整えられた綺麗な爪の形。
見覚えがあるような気がするけど、誰かは思い出せず振り返った。
「みつ、これ、やりたいの?」
居ない筈の人が、目の前に居て。
昨日、最低な連絡をしたのにも関わらず、相変わらずの淡々とした声で話し掛けられて。
「俺達で良かったら、付き合うよ。」
何か言おうと口をパクパクさせている内に、そのゲームの箱を持って姉ちゃんの居る席に向かっている。
そのテーブルには、我が家のお父上様が、席に着いていらした。