第11章 裏で動いた恋模様
‐赤葦side‐
りら以外の女性に目を向けた事が、余程嬉しかったのか、木兎さんには泣かれてしまって。
更には、何でも協力するとまで言ってくれたけど。
「…りら。」
俺が求める協力者は、木兎さんじゃなくて、こっちだ。
「頼みがあるんだ。」
拒否の言葉を告げられる前に言ってしまえば、面倒臭がりでも真面目なりらだ。
頼まれた事を無視するなんて出来ない。
「明日、みつと、俺が昔バイトしてた店に来て欲しい。」
用件を話してしまうと、断り方を考えているような、迷っているりらとの話は終了させて、他との会話を楽しむ。
諦めたような息を吐いて、スマホをいじっているのが確認出来た。
これで、準備は完了。
後は、この先混沌としかねない飲み会を抜けるだけ。
遅くまで飲まされたら、明日の行動に支障が出る。
面倒事をりらに頼んだ事で木葉さんの怒りをかって絡まれたり。
まだ飲みたそうな木兎さんに引き止められたり。
散々な目にあったけど、黒尾さんが察してくれたようで。
何とか、日付が変わる前に家に戻れた。
嘘だと分かりきってはいたけど、家がホテル代わりに使われた痕跡はなくて。
安心して眠る事が出来た。