第11章 裏で動いた恋模様
‐赤葦side‐
みつが、男の家には行っていない。
頼れる筈の相手が出来て、ただでさえ、居辛い実家に戻る筈はない。
相手が実家暮らしだとか、事情があったなら、俺の家に居続ける。
ホテル代わりにするくらいだ、彼氏が男の家を嫌がる訳がない。
結論として、彼氏が出来た事は、嘘だ。
それなら、俺がやる事は決まっている。
スマホを操作して、目的の人物に連絡を取る。
大した時間も掛からず、返事が返って、明日の予定が決まった。
「黒尾さん、お呼び立てして、すみませんでした。今日はご馳走するので、飲みましょう。」
「りら、赤葦のオゴリだってよ。お前も飲めば?あ、かおるサンもー。」
「え、ちょっ…それは、流石に…。」
「ジョーダンだよ。後輩に奢られる程、落ちぶれてマセン。割り勘な?」
もう、みつについて話さなくてもいい。
彼女が、何故俺から離れたいのかは、まだ分からないけど。
離してなんか、やらない。
今度こそ、捕まえてみせる。
話を終わらせると示した事は伝わったようで、そこからは普通の飲みになり。
かおるさんが木兎さんを呼び。
りらを迎えに来た、木葉さんまで加わり。
その最中、話のネタとして黒尾さんから、きとりさんの所に行っていた事をバラされて。
そのきとりさんから聞いたのか、船を渡った事まで知られ。
しかも、その理由が女の為だと明かされる。
りらに対しての拗れた執着が無くなっている事には、他の面々にも安心された。