第11章 裏で動いた恋模様
‐りらside‐
追い払われたけど、料理が出来てしまったから、小上がりに近付く。
「…失礼します。」
喋っていなかったのを確認して、声を掛けた。
テーブルの上に赤葦さんのスマホが乗っていて。
皿を置くために、どかしてしまおうとした時に、そこに映された文字が目に入る。
【彼氏出来たからケージくん家はお役御免だよ。明日から彼氏の家に行くね。
最後にホテル代わりに使っちゃったのだけ、謝っとく。ゴメンね。】
この内容と、今朝の様子。
みつからのメールだろう事はすぐに分かった。
「…これ、嘘です。みつ、実家に戻ってます。」
彼氏の有無は嘘とは言い切れないけど、これだけは確実。
だって、親から連絡があったから。
みつが帰ってから部屋に籠りっきりで、私には敵わないと、泣き続けているらしい。
意味が分からないから、取り合えず当分の間はみつと接触しないとだけ話しておいた。
そんな、私の家事情は置いておいて。
なんで、みつの事を話しているんだろうか。
世話になった癖に、居なくなる時はメールだけで、鍵も私に託した事を怒っているのだろうか。
どうしてなのか分からないけど、聞かれたくないようだったから、料理を置くだけ置いて離れようとしたのに。
「りら、それは本当?」
逆に、声を掛けられたから足を止める。
「彼氏の有無は分かりませんが。そんな相手が居るとしても、その家には行ってません。」
断言してみせると、赤葦さんが悪い顔をして笑った。