第11章 裏で動いた恋模様
‐赤葦side‐
酒に口を付ける前で良かったと思う。
今でさえ、感情が抑えられそうにない。
視界が滲んできた。
「…りら、ちょい向こう行っててくんね?男同士の大事なオハナシっつったろ?」
「はい。」
俺の様子に気付いただろう黒尾さんが、りらを遠ざける。
「…分かった時には、手遅れーって?お前、そんな諦め早いヤツだっけ?追う恋は、得意だろ?」
声を出せない俺に向かって落とされる挑発的な言葉。
それにノって言い返す勇気はない。
木兎さんや木葉さん…人の恋愛をサポートはしてきたけど。
考えてみれば、自分の恋愛が上手くいった事がない。
どんな理由があるかは知らないが、みつは俺から離れようとしている。
嫌がる人間を追ったら、それこそ本物のストーカーだ。
そんな事、出来る筈がない。
「りらが、特殊っつーのは分かってるだろ。彼氏でもない、お前の狂気じみた、病的な愛情を嫌がらないのは、アイツくらいじゃね?
まぁ、赤葦を恋愛的な意味で好きなら話は別だろうがな。惚れた男が、そこまで自分を追ってくれたら。病的じゃなくて、情熱的な愛情って感じんじゃね?」
どうにかして、俺にみつを追い掛けさせようとしているようだ。
本当に、手遅れなのだと教えるように、みつからきていた最後のメールを見せた。