第11章 裏で動いた恋模様
‐みつside‐
受け入れてしまうと、次に起こす行動を考えるのは簡単。
ケージくんに電話でもしようか。
お部屋、ホテル代わりに使っちゃった、ゴメン。
とか、怒られるの覚悟で軽い事を言って。
完全に嫌われて、離れてしまおう。
もう復讐は止めたし、駒である私を必要としていない事も、分かっているんだから。
取り出したスマホを操作して、ケージくんに電話をする。
何故か、繋がらなくて、仕方がないからメールを送った。
これで、私の恋は終わった。
逆に清々しい気分になってくる。
「姉ちゃん。これ、ケージくんの家の合鍵。返しといて。」
「なんで、アンタが…。」
「私、今は実家に居辛いからさ。居候させて貰ってたんだよね。でも、彼氏出来たから、もうイラナイの。
アリガトー、だけ伝えといてくれる?」
顔に、作り物の笑顔を乗せて、鍵を姉ちゃんの手に強引に握らせた。
さっと立ち上がって、引き止められる前に離れようと背を向ける。
「自分で、返しなさい。」
でも、足を動かす前に声を掛けられて止まってしまった。
「…いやー。彼氏がヤキモチ妬きでさ。男と会ってるの、知られたら怖いんだよね。」
なんとか言い訳を考えて、会わない理由を作る。
「お世話になったお礼くらい、自分でして。私は知らない。」
「血の繋がった妹の頼み、聞いてくれたっていいじゃん。私が彼氏とケンカしても良いの?」
粘られてしまったけど、早口で言いくるめて。
再度、鍵を受け取る気がないと示すように手を握り締めて、その場を去った。