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【HQ】繋がる縁の円

第11章 裏で動いた恋模様


‐赤葦side‐

きとりさんに紹介された漁船に乗り込む。
頑張って、と送り出してくれた彼女は、港が見えなくなる頃まで手を振ってくれていた。

タダ乗りも悪いから、手伝いを申し出たけど。
これから危ない事をする俺の体力とかを気にしてか、手伝わせてはくれなかった。

確かに、危険だと分かってはいる。
それでも、1日に数本のフェリーを待つよりは確実に早く東京に戻れるなら、やってみせる。

こんな事をしてまで会いたいのが、あの女、というのは自分でも納得したくはないけど。

俺の命令なら、何でもする。
それだけの忠誠心を持って、俺を想っていた筈なのに。
あっさりと、他の男のものになるのは許せなかった。

しかも、その相手が黒尾さんだから尚の事。

きとりさんの気持ちを、心を、縛り続けて。
更に、みつまで俺から奪わないでくれ。

今回ばかりは、諦めで潰してしまいたくはない。

3回目の出会いで結ばれた2人に倣いたいんだ。
3度目の正直は、ある。
俺の、3度目の恋は叶えたい。

追われる事に慣れず、目を逸らし続けた感情を認めて、覚悟が決まった。

漁師の1人に、俺が飛び移る予定の船が近付いてきたと教えられ、示された方向を眺める。
かなりの至近距離に、もう1隻の船。
そちらに乗っている漁師が、手招きをしてくれている。

接触する程の近くには寄れないようだけど、怖いとは思わなくて。
先に荷物を投げ渡してしまうと、迷う事なく飛んだ。
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