第11章 裏で動いた恋模様
‐黒尾side‐
完全に、ご立腹だ。
みつは、それだけで萎縮して言葉を返せてない。
『お前、今どこに、誰と居るの?』
スマホから聞こえる声は、質問を増やしていく。
つーか、なんで赤葦はここまで怒ってんだよ。
これじゃ、今の執着対象が完全にみつじゃねぇか。
赤葦の、何かが変だ。
『お前、分かってる?バツイチ出戻りで、家にすら居辛いお前の事、相手にしてやれるの、俺ぐらいだろ。』
その違和感の正体が、聞こえてきた声で分かった。
いつでも、木葉が心の中に居たりら。
家族としてしか、赤葦を見ないだろうセンパイ。
彼女達の中で、男性としての立ち位置を獲得する事は出来ず、叶わないと知りながら追い掛け続ける恋しか知らない。
だから、赤葦は追われる側になって戸惑って、自分の本心を分かってねぇんだ。
そうだよ、あの赤葦だ。
みつの気持ちに気付いてない筈がなく。
誰のものにもならず、自分を男性として見るみつは、俺のものって独占欲がある。
多分、持ち前の執着心を発揮してみつのブログだかを覗いて。
今日の、俺とのデートなぅを見た筈だ。
男と居るのが、許せない。
だが、どうして許せないのか、自分の本心が分かってない赤葦には分からず、ただ怒りを表すしか出来ねぇんだ。
センパイと、上手くいってたら、そもそもみつのブログに興味なんか持たねぇだろうから、フラれたのも丸分かりで。
それなら…。
気付かぬなら、気付かせてみせよう、ってな。
「…ひゃっ!…や、んっ…。だめ、やめて…。」
企みと、悪戯心でみつの横腹に指先を立てると、擽ったそうに体を捻る。
その口から、上手くピンクっぽい声を出させる事に成功した。