第11章 裏で動いた恋模様
‐黒尾side‐
部屋の中に入ってすぐ、またみつのスマホが音を立てる。
相手は、やっぱ赤葦だった。
出ない事に決めてるようで、テーブルの上に放置されたスマホ。
一度切れても、数分毎に着信が入るから五月蝿くてマナーモードにした。
その内、切れてから数分待つ事もなく連続で着信するようになる。
オイオイ、赤葦よ。
コイツにまで、ストーカーしてどうすんだ。
執着すんのは、りらだけで勘弁してやってくれ。
スマホが震える度に、悪い方向を想像して辛そうにするみつを見てらんねぇよ。
「…出て、良いか?聞きたくねぇなら、俺が代わりに話すっから。」
俺だって、ぶっちゃけセンパイと何かあった報告なら聞きたくはない。
だが、想像だけで苦しんでるみつを見てたら、もういっそ答えを知っちまった方が楽だと思った。
もし、最悪の結果でも、今なら俺が傍に居る。
みつが求めるなら、どんな慰めだってしてやる。
そんな気持ちで、スマホを手に取ったが、その画面にはみつが触れて。
「…はい、みつです。」
スピーカーでの通話を始めた。
自分で話すと、示されたようなもんだったから、無駄に声を掛ける事はせずにスマホを手渡す。
『…お前、なんで電話出ないの?』
そこから聞こえた赤葦の声は、かなり低かった。