第11章 裏で動いた恋模様
‐みつside‐
まさか、あんなにあっさりと了解してくれて。
しかも、今話題のパンケーキのお店に連れてきてくれるなんて、思いもしなかった。
こういう店って、男性は苦手なものかと思ってたけど。
「フルーツパンケーキと、アイスコーヒー。…お前は?」
テツローくんは、手慣れていた。
よくデートとかで使うんだろうな。
きとりちゃんが好きなんじゃないのか、この浮気者め。
「なーに、イライラしてんだよ?さっさと選べって。」
「スペシャルパンケーキ、生クリーム追加トッピングで。後、アイスミルクティー。」
気付かれたのが悔しくて、一番高いものを注文してみる。
文句くらい言われると思ったのに、逆に微笑ましそうに眺められてしまったから困って。
「テツローくん…なんか、笑ってるって言うか。子どもとか見てるような顔してるよ。」
「そんな顔してたか?」
顔を指差して理由を訊ねてみた。
即座に誤魔化すような言葉が返ったけど、ただ頷くだけで答えを促す。
「…やっぱ、お前等って姉妹なんだなって思ったんだよ。」
「…何が?」
「注文が、な。」
「姉ちゃん、フルーツ嫌いじゃない?」
「生クリームトッピング。」
「…あぁ。」
何で誤魔化そうとしたかは分からないけど、あの表情の意味は分かった。
あの人、最早怪物と言えるくらい乳製品が好きなんだよね。
元のパンケーキにも生クリーム付いてるのに、更にトッピングしたから姉ちゃんと重なったんだ。
私の場合、単価を上げようとしてトッピングしただけなのにな。
あれだけ可愛がっている姉ちゃんと重ねてくれるのは、私の事も可愛がってくれているような気がして嬉しかった。