• テキストサイズ

【HQ】繋がる縁の円

第11章 裏で動いた恋模様


‐黒尾side‐

さっきは、あんな大泣きしてたクセに、今は笑ってるみつを見てると。
コイツを、独りにしたくないと思う。
きっと俺が帰ったら、この部屋で赤葦の事ばっか考えるんだろうから。

いや、違うな。
コイツを独りにしたくないんじゃない。
俺が、独りになりたくねぇんだ。
赤葦が強引な手段に出ていたら、なんて、想像すんのすら嫌だ。

「だからぁ、テツローくん、顔が怖い。ただでさえ、悪人面なのに眉間に皺寄せないで!」

また、表情を読まれたようで、額を軽くペチペチと何回も叩かれた。

「暴力反対ですぅ。女の子が、こういう事すんのは止めなさい。」

手を掴んで動きを制する。
ムキになって振り払われるかと思ってたが、それは無く。
ただ不機嫌を表すように唇を尖らせて、顔を逸らしていた。

「コラ!その顔も止めなさい。折角の美人が台無しだろうが。」
「…ふぎゃっ!」
「ぶっ!ふぎゃっ、ってなんだよ!マンガか!」

手を解放して尖った唇を摘むと、わざとらしい変な悲鳴が聞こえて。
つい、笑ってしまった。

「乙女の顔を笑わないでよ!」
「だーれが、乙女だ!お前だってアラサー女だろ。」
「四捨五入したら20さ…。あ、違うわ。私、25だった。」
「自分の歳忘れんなよ。」

こういう、やり取りが俺達にとっては自然で。
余計な事を考えずに済むようになった。

泣いたり、笑ったり、感情表現の豊かなみつ。
今は完全に拗ねてやがる。

やっぱ、うん。
コイツを独りにしたくねぇし、俺も独りになりたくねぇ。

「そーんな、拗ねんなって。」
「朝ごはん、ご馳走してくれたら機嫌良くなるよ。」
「はいはい。オニィサンがご馳走してあげよう。」

多分、独りになりたくないのはコイツも同じ。
宥めるように頭を撫でてやると、まだ一緒に居たい気持ちを含んだ要求があって。

こっちにとっても、都合良い事だから承諾した。
/ 545ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp