第11章 裏で動いた恋模様
‐黒尾side‐
飛行機のチケットもネットで取ったようだから、ホテルとかの宿泊先もメールで情報を得れると思ったが。
それらしいものが無く。
赤葦の事だから、ホテルは取れなかったと、センパイの家に泊まってるだろう事は予想出来た。
10日も、1つ屋根の下にイイ年齢の男女が2人きり。
センパイが、可愛い弟分だと思ってるだろう赤葦を警戒しないのは分かってて。
強引に押し倒されでもしたら、力じゃ男の赤葦には敵わないのも分かってて。
気持ちがあるからじゃなく、関係を持ったから付き合う、だとかのパターンも有り得ると気付いた。
センパイだって、赤葦を嫌いじゃねぇだろうし。
愛せるだろう、って前向きな気持ちで付き合うんなら良い。
幸せになってくれ、って応援もしてやれる。
だが、体が先の状態で付き合ったら、最悪だ。
傍に居なきゃ、ヤれなきゃ、成り立たない関係は、すぐに壊れる。
センパイが傷付くのだけは、阻止したい。
咄嗟にスマホを取り出して、何て連絡するかも考えもせず、画面に触れて電話帳を開く。
「…テツローくん。顔が怖い。」
苛々が、そのまま顔に出ていたようで、みつの声で我に返った。
現在の状況が分かってすらいないのに、こちらからアクションを起こすのは危険だ。
まだ何もしていないなら、その手があった、と赤葦に気付かせる事になる。
たまに手段を選ばないトコがあるから、気付いたら行動に出るだろ。
何もない事を祈って、待つしか出来ないのだと理解して、途方に暮れた。