第11章 裏で動いた恋模様
‐みつside‐
甘やかしてくれんの分かったからって、あの大泣きは恥ずかしすぎて。
顔を見られなくなりそうだったから、帰って貰おうとしたのに帰らないでケージくんのパソコン触りだすし。
下手に間違ったパスワード入れられて、パソコン自体に何かあったら困るから教えた。
パスワードを聞いてた訳じゃなく、隠しもせず私の前で入力していたから、知っていただけなんだけど。
悪戯心で、開かれるのも覚悟しているだろうから罪悪感はない。
テツローくんに近付いて、後ろからキーボードに触れた。
「0408って…。」
「お釈迦様の誕生日だよ。」
「お前な、素直にオネェチャンの誕生日って言いなさいよ。」
さっきの数字を一回見ただけで覚えたのは、こういう理由がある。
ケージくんの、姉ちゃんに対する想いを物語っているようで、口には出したくない。
テツローくんに指摘された言葉は聞いていないフリをして、パスワードを入力した。
エンターを押すと、開かれたメール画面。
テツローくんが、何を見たかったのかは分からないからキーボードから手を離す。
すると、すぐにマウスで操作された矢印が選んだのは、航空会社からのメールで。
「赤葦のヤツ、10日もあっち居んのかよ…。」
忌々しげに呟く声が聞こえた。