第11章 裏で動いた恋模様
‐黒尾side‐
みつも、りらやセンパイと同じだ。
自分の気持ちより赤葦の気持ちを優先して、傷付くの分かりながら、それに耐えてた。
自分の気持ちを犠牲にした。
他の誰かの為に自分を犠牲にした女より。
赤葦自身の為にソレをやった女が居る事に、気付かねぇもんかな、アイツ。
泣くような、唸るような声が止んで、今は寝息が聞こえてくる腕の中を眺める。
泣き疲れて眠る顔は、普段のクソ生意気な言動からは想像出来ない程に儚くて、放っておけないと思った。
目覚めた時、独りで赤葦の家に居る状況は、気持ちを吐き出した後じゃ辛いだろうから、起きるまでは傍に居てやりたい。
布団に寝かせて、少しだけ離れる。
流石に、一緒に寝る訳にはいかねぇからな。
暇潰しがてら部屋の中を眺めていると、目に入ったパソコン。
個人情報の塊。
見てはいけないもの程、見てみたくなんのは人の性。
パソコンの前に座って、電源を入れた。
立ち上がった画面。
手始めにメールから、と思ったが、どうやらパスワードが設定されているようだった。
何度も間違えたら、ロックが掛かる可能性がある。
「…0408。」
「…起きたのか。」
「寝てないよ。寝たフリしたら帰ると思ったのに帰らないんだもん。」
諦めて画面を閉じようとすると、後ろから声がして振り返った。
体を起こし、ちょい不機嫌そうな顔をしたみつがこっちを見ている。
「さっきの、パスワードだよ。」
開くなら開けば、と言いたげにメール画面を開いている画面を指差していた。