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【HQ】繋がる縁の円

第2章 初めて迎える朝


木葉さんは、身長を気にしているような所がある。
だから、玄関の段差をちょっと恨んでいた。
この状態だと、私の方が確実に大きいから。

だけど、今の木葉さんの行動は寧ろ、この身長差を楽しんでいるようで。
近くにある顔が、悪戯に成功した子どもみたいに笑っていた。

背伸びしてキスしてきて、笑ってるとか。
女の私より、絶対に女子力高い。

「ンなに見られっと、俺に穴開くぞ。」

じっと見詰めていると、首に絡んだ腕が解けた。
背伸びを止めた木葉さんの顔を見下ろしても、目が合わないようにされている。

折角、さっきまでいい雰囲気だったのに。
見すぎた所為で、嫌な思いをさせたようだ。

「すみません。」

謝る以外の方法が思い浮かばない。
顔を見ると嫌がられるから、下を向いた。

「あの、今夜はやっぱり、いいです。お店にも、来ないで下さい。」

会ったら、木葉さんの事を眺めてしまうから。
そんな事で嫌われたくないから。
会わない。

「あー!もう!お前、何でそう極端なんだよ!」

突然の、勢いがある声と、頭を荒く撫でられる感触。

「お前に見られてんの、恥ずかしいの!照れてるだけだから!」

恐る恐る木葉さんの顔を見ると、叫んでいるからなのか真っ赤で。

目が合うと、目を糸みたいに細くして笑った。

「俺が会いたいから、行っていいよな?」

私の本心にも、会いたい気持ちがあるから頷く。

「…じゃ、また夜な?いってきます。」

人の家から出る時の、お邪魔しました、じゃなく。
自分の家から出掛ける時の、いってきます、の挨拶。

ナチュラルに同棲カップル感を置いて、木葉さんは出ていった。
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